忍者ブログ

 純愛ist(更新停止)

   管理人・きしあが運営する二次創作イラスト中心サイトです。原作者、関係各社とは一切関係ありません。
   腐向け(同性愛)、一部ページにて18才未満閲覧禁止を含みます。無断転載、無断転記は厳禁。

   ブログページに直接来られた方はこちらへ→http://2st.jp/kisia/

アフタースクールタイムイズオーバー

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

アフタースクールタイムイズオーバー



 俺がまだ15才で、おまえのことを「きみたか」って呼んでた、そんな頃の話。


 ちょっと進みまして34巻。IH開始まで。ペースあげないと原稿までに間に合わないぞ。
 はい、遂に合宿。ここを読み始めるのにどれだけの覚悟をしたか。だって、ここは、て、手嶋が、手嶋が大変なことに、手嶋が友達と、け喧嘩、そういうギスギスしたことに、あの優しい手嶋が、う、うう…。
 と思ったら案外、手嶋全然大丈夫だった。いや大丈夫ではないんだけど、友人関係の意味で大丈夫だった。すごく友情。同人誌のせいで古賀に変な先入観持ってたわ。古手って往々にしてドロドロじゃん。
 読みながら「あっ、ここ!大体同人誌だとこの後エッチするやつだ!」と謎の興奮をしてた。うちに何冊T2同人誌あるんだよ……(私のじゃない)

●手嶋
 才能より努力、個人力よりチームワークを重視するあたり、この人は本来スポーツ漫画主人公属性を押さえてた……が、押さえてるってだけで主人公にはなれず結果ひねくれてしまった人(主人公とはキラリと光る何かを持つと言うが、それを持てなかった主人公と言えば良いのか)という印象が今まであった手嶋。
 手嶋の基本姿勢に「自らの分を知ること」があるが、ここにイマイチ芽が出ない要因がある気がしてた。自分の限界を規定してしまってる。自分の力を冷静に分析した上でどう勝つかを考えられるのは手嶋の持ち味だけど、つまり自分の想定までの力しか出せない、自分で決めた限界を越えられない弱さがあった。そこを乗り越えてきちんと主人公になれた話だったように思う。
 まあ、それが成ったのはこの合宿でだけど、成れたのは今までの手嶋の努力の積み重ね。1年のゴールスプリントで負けた回想で、滅茶苦茶に悔しいだろうに軽口と笑顔で青八木に応えたのがこの人の良い所(気丈で相手を気遣うところ)と悪い所(敗北を自分に相応しいと認めてしまうところ)が同時に出てるけど、2年合宿時点で足ブチ切れるまで無茶をして、負けた後も正直に悔しいって言ってたんだから、あの頃にはもうかなり姿勢が変わり始めてたんだろうな。

 とにかく今回は自分で自分の限界を捨てての戦い。だからこその小細工無用の実力勝負……だけど、頭が良いのが手嶋の武器であって、策略は彼の才能そのものなのでちょっと物足りない気持ちはある。主将交代がかかった一世一代の大勝負、無策でつっこむ男ではないはず(まあ手嶋自身が、IHでは戦略でどうにかなるレベルを超えた限界状況になることを想定しての特訓だろう)。一つ言うなら、結果的に「4日間耐久戦を避けて、2日目ゴールスプリントで決着をつける交渉を成立させた」ことそのものが今回の手嶋の最大にして最強の策だった(合宿開始前から『3年最後のスプリント』と手嶋が言ってるので、最初からこのスプリント勝負に持ち込むハラだったんだろう)。耐久戦なら万に一の勝機もなかったので、これが古賀に勝てる唯一最後の方法なのは間違いない。
 勝率ゼロだった勝負を、決着を早めるというルール改変で勝利をもぎ取った(スプリントで勝てること自体奇跡的だったのだが)のには賛否が残りそうだけど、古賀だって確実に勝ちたければ拒否すれば良い訳で、その辺を考えるとよりなりふり構ってなかったのは手嶋(格下だから当然だけど)。勝機のない勝負に手嶋が勝った要因はそんな執念かもしれないし、青八木の応援かもしれないし、実はまだ古賀は怪我を引き摺っていたのかもしれないし、手嶋は自分で思ってるより全然速かったのかもしれないし、ここは永遠に理解できなくていい謎だなあ。
 でも、決着後の古賀の安らかな表情を見るに、どこまでしても勝ちたいと足掻き続けた手嶋の執念とその結果一瞬でも自分を上回ったその無茶苦茶さが古賀を安心させた…のかもしれない。

 古賀VS手嶋は、「才能があることで苦労したやつVS才能がないことで苦労したやつ」でかつ、「期待されてるから頑張るやつVS期待されるために頑張るやつ」の勝負。後者の話をすると、古賀はホープとして期待されてて、それに応えたいがため、ホープとして務めを果たすため怪我を押してでもIHで頑張った。逆に、1年時「期待されれば俺だってもっと頑張るのに」とふてくされた手嶋。現在は「頑張らないと期待なんてされない」って結論を出し、今まさに期待されるために頑張ってる途中。
 でもずっと前から、手嶋がふてくされてた頃から青八木は手嶋に期待してた。頑張りが足りない(って手嶋自身が思って)ても青八木からはパートナーとして、田所さんからは後輩として、巻島さんからはクライマーとして、金城さんからは主将としてしっかり期待されて、その結果として今、部員全員の期待を背負うため頑張ることができてる。だから結局、「期待されれば頑張る」も「期待されるために頑張る」もどっちも手嶋にとって真実だったと思う。自分の凡才に見切りをつけ他人を勝たせることに執心していた手嶋、結局のとこ一番手嶋に期待してなかったのは手嶋自身だったというオチ(そういう卑屈なとこ大好きだけどね)
 そんな手嶋が初めて舐めた勝利の味。IH前に手嶋が「勝つ」という実感を手に入れられて本当に良かったと思う。まぐれでも奇跡でもいい、これでやっと自分に期待してあげられる。高3にもなってやっと初めて勝てた……手嶋の胸中を思えば万感の思いに違いなかったろう。古賀のことを思えば全くの美談だったとは言えない決着だけど、しかし純太には本当におめでとうとしか言いようがない。

 勝負の経緯や結果や置いておいて、夜間追い禁を使った勝負方法は「お前はやっぱりそれか!!!」と感激した。やはり手嶋は夜空に輝く一番星。夜はいつだって盲目的に手嶋に従順だ。手嶋とは出会った時から「こいつは夜と星の化身だ」(もしくは宵闇の魔女)と思っていたが、2度目の夜戦に再度確信を得られた。はじめさんもそうだが、いい感じに私の手嶋像が暴走してる。
 懐かしいと言えば、前髪を2年っぽく戻してるのは航先生の計らいだろうか。ガチのタイマンということでのキレッキレの表情の手嶋さんも久しぶり。こりゃあ合宿の手嶋さんは、T2連携と笑顔を封印……などということはなく、ここぞって時以外はいつものお茶目な笑顔の主将さん。放置プレイが可愛い。

●古賀
 突然登場して俺達の手嶋主将をぶっ潰そうとするなど新参なら死刑モノだが、最序盤からさりげなくサポートし続けてくれたキャラなので嫌みさがない(だからこそ辛い部分もあるけど)。普段優しくて笑顔が素敵だけど、唐突に毒を吐くあたり手嶋と気が合うのは当然か。

 手嶋との激闘だけど、素晴らしくもやるせない結果に。去年の合宿のT2、箱学での黒田、ウェルカムレースの杉本……、負けた結果レギュラー落ちした人は多くいながら、初めての「圧倒的格上が負けた」形になる。正直、彼に落ち度も負ける要素もほとんどなかった。
 古賀は確実にレギュラーになりたいなら、手嶋のスプリント勝負に乗らず4日間真面目に戦うだけで確実に勝てた。勝負を受けたのは絶対に勝つ自信があったからだろうけど、例え負けても合宿順位の6位以内に入れば7位になる手嶋はレギュラー落ち。古賀は決して劣っていた訳ではなかったし、まだ戦おうと思えば戦いようは無くはなかった。だから今回の勝負、決着はゴールスプリントでつけたけど、本当の決着は古賀の心の中でついたものだったんだろう。手嶋なら託せると古賀が感じた瞬間に。負けたというよりは、まさしく「身を引いた」という印象のある決着だった。
 ……と思っていたら、最後の涙である。無念だったんだろう。去年IHの箱学敗北の雰囲気に近い沈痛さがある。いや、箱学は全力で戦って負けたけど、古賀は戦いを終わらせることを自分で選んだ部分があるので、より複雑になってる。メタな話をすると、古賀が潔く身を引くことが現メンバーを続投させることができる&古賀の株を上げることができるので、作劇上最も美しいと読み手が分かるのがまた辛い。

 なぜ手嶋はウェルカムレースでレギュラー1枠を埋めたんだろう。古賀復帰が分かってれば、古賀で1枠確定させてもいいはず。でもそうなると今度は最後の枠を手嶋と鏑木で争うことになるので、これでも勝負は避けられない。じゃあ手嶋はレギュラーに要らないか、ってなるとチームの中核としてやはり要る。結局、手嶋を失うか、実力者2人のうち1人失うか、って選択になる(今んとこ鏑木の活躍が少ないので、鏑木落とせば…?って思ってしまうのが否めないけど。IHで活躍見せてね)
 救いがあるとすれば、1000km完走でケジメつけたことと、手嶋とわだかまりが消えたこと。あと、T2は結局田所さんとIH出れなかったけど、古賀は金城さんとIH出れたことかな。小野田くんの師匠ポジに落ち着いたのも読み手側には救い。金城→古賀→小野田と受け継がれた総北メガネスピリット!!!メガネ先輩2人の負傷率まで小野田くんが受け継がないことを祈る。

 逆に安心したのは、古賀と手嶋の友人関係。二次創作からの印象だったんだけど、二人の関係はギスギスしてると思ってた。けど、ガチで勝負してるしガチで煽ったりもしてる割に、終始仲が良かった印象しかない。軽口と煽りの応酬。これでまだわだかまりがある状態だったんだから、かつてはどんだけ仲が良かったんだか。
 「まだ仲良かった頃~」なんて手嶋は言ってるけど、古賀は最初から手嶋を「純太」って呼んでたし、古賀の方は仲悪いつもり全然なかったんじゃなかろうか。結局、手嶋が少し気を遣いすぎてただけってことで。あたし、手嶋と古賀が仲良くしてるとすごく幸せな気持ちになる(はじめさんも多分そう思ってる)

 しかし、一昨年のIH広島大会の総北、2年が3人に1年が1人ってどんなに選手少なかったのか……。古賀が無理して頑張ろうとした心中は察せられるかもしんない。
 怪我に対して大きなトラウマを持ってしまった訳だけど(怪我の古賀の関係性を考え出すと思考のド壺に入るので、今回話すのは控えとく……)、バタバタと部員が怪我していく総北高校にあって彼の胃は大丈夫だったろうか。去年の合宿での親友2人は怪我するわ、IH1日目は小野田が落車だわ、2日目は田所さん体調不良だわ、3日目は金城さん&鳴子負傷だわ。IH2日目に金城さんが膝を痛めた時、即座に手嶋が処置できたのは古賀のことを引き摺って身に着けた技術なのかもしれない。
 去年のIHは手嶋というスーパーサポーターがいて、今年はその抜けた穴が心配だったけど、古賀というスーパーメディックを総北は手に入れた訳で、誰がどう怪我しても安心安全で見守ってられる。古賀の胃だけが心配だけど。

 原作を読んで初めて気付いたけど、さりげなくビジュアルがとても好み。
 長身痩躯で(今泉より大きそうなので185ぐらい?)、でもペダキャラの割に肩幅がちゃんとあるからヒョロくは見えず、文字通り「すらっと」してる。モデルさんだなー。総北高校自転車競技部で、今泉、金城さんに次ぐ3位の美形認定。

●青八木
 ある意味、この人が一番トバしていたのかもしれない。相棒のピンチの割に序盤は出番抑えめかなーと思ってたら終盤近くの(感情の)暴走がすごかった。この人無口で良かったな、なんでも口に出してたら大変だろうなと思うほどの、愛。

 手嶋も古賀もどちらも総北を支えてきた大事な先輩、その二人が覚悟を決めて勝負してる。ならばどちらが勝っても全てを見守るしかできない……どちらかを応援なんてできない……という後輩達を横目に「純太!!!!」古賀が先に見えてきても「純太!!!!」古賀もお前の親友だろうに「純太!!!!」いきなり3連呼したぞこの人。
 当事者二人以外に、この場で100%の私情で動いてたのはこの人だけだ。義理も理屈もへったくれもないドロッドロの私情だけで叫ぶ。その私欲、我が侭、手嶋に対する贔屓も期待も超えた単なる激情の暴走。かっこよかった。
 「おまえだけは俺を応援してくれるか?」に対しての返答が「おまえ以外の誰を応援するっていうんだよ!!」は、初見読んで「はじめさん、ちょっと日本語おかしくねーか!?」と戦慄した。普通なら「俺だけはお前を応援する」という答えが適当だろうが、まさかの「お前以外応援しない」である。お前以外の誰を応援する=俺が応援するのはこの世でお前だけだ=もう他のやつは知らねえ!!俺には純太がいればいいんだよ!!! そんなエゴまみれの大告白が返ってこようとは手嶋だって想定してないぞはじめさん。感情の糸がキレてる、とこのセリフ読んで思った。
 『言うなれば運命共同体。互いに頼り、互いに庇い合い、互いに助け合う。一人が六人のために、六人が一人のために。だからこそ合宿で生きられる……。嘘を言うな!偏愛に歪んだ暗い瞳がせせら笑う。お前も、お前も、お前も!純太のために死ね!!!』(最近はじめさんとボトムズの次回予告が相性良いと気付いた)

 そんな激情は抜きとして、主将でいられるかどうかの心配ではなく、まずは辛くないか、一人で不安じゃないかと純太の心身を案じ、からの自分は純太がいないと不安だと本音を吐き、純太の辛さも自分の不安も両方を解決する唯一の手段として最終的に口に出せた一言が「勝て」だけだったその心中はあまりにも痛々しく熱い。2年合宿でもそうだったけど、この人たまにモノローグで涙ぐむような本音を見せる。
 本当は手伝いたかったろう。手伝えなくても傍にだけはいてやりたかったろう。主将を手嶋にだけ任せることになってしまったし、峰ヶ山だって限界ギリギリの手嶋を見守るしかできなかった。合宿での連携禁止に一番傷ついてたのは青八木の方だろう(手嶋は古賀とタイマン勝負するために、青八木が手出しできないよう連携禁止をわざと設定したのだろうが)青八木に無理をさせてるのは手嶋も分かっているだろうけど、そこは手嶋だって男。やると決めたらやる。青八木の無力感への気遣いを含めての「応援してよ」ってことだったのかもしれない。大丈夫だぞはじめさん、たとえ離れていても二人の心は必勝グローブで繋がってるぞ。

 駆け寄ってくるまでは涙を流すほど純太を想っていたのに、実際に応対すると涙がひっこみ態度がフラットになるのが安定である。でもいつもより優しいし嬉しそう。青八木はたくさん我慢したし、手嶋はたくさん頑張った。合宿で負けた夜みたいに互いが互いの胸で泣けばいい(合宿の夜に二人が抱き合って泣いたってのは同人誌からの刷り込み)


 旧2年はみんないい人だ。手嶋は優しいし、青八木は素直だし、古賀はしっかりしてる。でも、全員自由という訳ではなく、それぞれがそれぞれ足にひっかかってるモノがあって足を引き摺っている。少々の湿っぽさとやるせなさ。単なる美談じゃ終われない、そこが総北旧2年のカラーというか、物悲しいけど魅力的なところ。ちょこっとだけ少年漫画っぽくないのが良い。
 しかし旧2年全員、初登場は敵役、しかも闘争心ギラギラで挑んでくるという共通点はすごいの一言。総北の主人公ムードにおいて異色すぎるよ旧2年……。

拍手

コメント