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 純愛ist(更新停止)

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カチューシャ忘れてる……

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カチューシャ忘れてる……



 コミックスの感想もあと1つでお終い。もう読んだのでそのうち。しかしその前にもう一つ、感想を書いてないものがあった。小説版だ!!!!!
 読んだの自体は9月。旅行先で読んで、夜中にウワァーーーーーーってなったりした。危険な小説だ……

1 ヒルクライム
・「東堂しつけェショ。オレが行くってわかってるクセに、何度も何度も電話してきてヨ」
 独り言ノロケという新技

・巻ちゃんのコミュ力
 集合場所で目立ってもあんま気にしない、初対面の戸袋の方言にツッコミをいれられる、武蔵川の名前をちゃんと覚えてたし話しかけられる、……小説版巻ちゃんはコミュ力高い。

・「調子が悪いのか?腹か?頭か?」
 恐らく頭痛を心配して「頭」と言っているんだろうが、さりげなくひどい言い回し

・スタート位置の場所取り
 この東堂さんて「先頭スタートが理想だと思いつつも目立つのが嫌いだから先頭に出れない巻ちゃんの性格を理解して、あくまで自分がただのお節介を焼いているという体面で巻ちゃんを無理矢理先頭スタートさせてあげる」って配慮だよな。それに対する巻島さんの(こいつ、わかってたんだ。)であってほしい。山神パーティにて、一人で勝手に話進めて真波と坂道の連絡先を交換する流れを作ったり、この人の「自分の強引でお節介な性格を利用して、受け身な性格の人に気を遣わせず融通きかせけあげる」ってすごく人間デキてるし、自覚してやってることなんだろうなあ。

・「東堂も口を閉じて、正面を見すえていた。東堂をそっとうかがうと、彼の目が輝きを増してゆくのに気づき、巻島はなぜか胸の奥が熱くなった」
 すっげえ恋してる

・「……やめた。様子見るだけなんてもったいねェ。な、巻ちゃん、こいつ煽って、先頭集団の十人、半分にしないか?仕掛けさせるんだ。そうすれば、少しでも早く、俺たちは二人きりになれる」
 こわい。
 1章のなにが素晴らしかったって尽八がとんでもなく怖い。読んでる間のツイッターには「東堂さんこわい」「東堂さんホントこわい」「東堂さんなんでこんなにこわいの」と書かれてあった。一番最後に東堂さん語録をまとめてみたけど、↑のセリフが一番怖く感じた。勝つために敵を利用するのはまだ分かるとして、「巻ちゃんと二人きりになるため」とはっきり言ってしまってるあたりに少々ヤンデレみを感じる。ぶるぶる。
 東堂さんて初対面の坂道くんにもすごく優しかったし、京伏の水田くんにも普通に話しかけてたから普段もこういうノリなのかなーと思ってたけど、箱学特有の「弱いもの」への割り切り方をこの人もちゃんと持ち合わせてるんだなーと。格下は見下し(侮蔑してる訳じゃないけど、相手にはしてない)、当然と利用し、弱い者なりに訴えることがあっても一刀両断(正論だったけど)。あたし、箱学が悪役然としてるのすごい好きよ。でも、巻ちゃんも「使えるヤツは使う」って言ってたし、レースでは当たり前のことなんだろうね。
 しかし、それにしても巻ちゃんとの勝負以外徹頭徹尾見えてないのは怖い。戸袋にも武蔵川にもまあまあ興味は持つけど、最終的に言うことは「さっさとぶっ殺して二人で勝負しよ♡」である。いやあ、東堂さんこわい。でも、巻ちゃんへの執着が強いのは逆に今まで本当に敵なしで執着する相手が全くいなかったせいなんかなあと思うと、怖いけど少しの悲哀を感じる。

2 勝負へのこだわり
・チェーンが外れてしまう巻ちゃん
 イレギュラーは味方にできると言っているが、私達は知っている……この後、巻ちゃんは前後パンクすることを……。本人曰く「イレギュラーに強い」だが、ここまでハプニング描写が多いとなんか単に不幸体質でそれに慣れてるだけな気がしてきた。

・巻ちゃん復活
 尽八の先行するスピードを読んで予測時間ほぼピッタリに追いつく神業は1年以上べったり付き合ってきた慣れか。すっかり不幸体質のイメージがついたせいか、こういう経験は尽八はあまりないけど巻ちゃんはかなり経験してそう。

・「あっさりしてんジャン、意外だ。あんたみたいな有名なトップ選手って、みんなもっとガツガツゴール狙って喰らうヤツかと」
 『あっさり』というのは巻ちゃんの人柄を褒めるのになかなか適当な言葉かもしれない。「負けたら機材を疑え」とか人事を尽くした以上は勝敗をあまり重く受け止めすぎないし、何事につけて気負いすぎないところは高校生とは思えない大らかさ(なのに、主に周囲のために胃が痛む状況になりがちなのは愛嬌というか人柄というか……)。自分の強さに自信はあるけど、同時に「なんかあれば負けることもある」ってゆるーく認識してるのはすごいなあ。
 パンクした戸袋を労れるなど、ここらへん実に巻島さんらしい性格の良さがでてる。先行してる東堂は知らないだろうが、もし戸袋と擦れ違ってたらどんな反応をしたのだろうか。

・(来た来た来た来たっ)
 ↑一番可愛かった巻ちゃん。
 内心ではこんな子供っぽいとこもあるんだなー。急坂登ってきて顔面泥だらけでこの笑顔はずるい。多分気味悪い笑顔だろうけど。

・「組んでいる、という言葉の意味がとっさに理解できず、巻島は訊き返した。」
 言葉の意味自体が理解できない、とかスゴイなこいつら……と思いつつ、今まで読んできた感じだと世界はそれを組んでいると呼ぶのでは?深くはツッコまないが、とにかくお互いが「敵」だという認識を崩さないのは流石。クライマーは孤独、のロジックが通じないのは小野田くんだけだよな。

・「よォ、お先に」
 ↑一番カッコよかった巻ちゃん。
 追いついて歓喜で叫びそうになるほど待ちわびた相手なのに、当然と抜き去ってそして最初にかける言葉がコレ。クールすぎる。

・巻ちゃん合流に喜ぶ東堂さん
 山神がお喜びになると右手を翼のように広げ、雲の切れ間から陽が射し、リドレーも路面も光る。巻ちゃんもうっかり目を細める。神々しい。

・巻「じゃ、抜かないとがんばりに応えたことにならないな」東「やったな、巻ちゃん!お返しだ!!」武「何をはしゃいでいる?(略)やめろ、目障りだ」
 レース中にコントしないでください。

・巻ちゃんと走ってる時の東堂さん「ワッハッハッハッ」「どうだ、巻ちゃん!」数秒後、武蔵川が並んだ時の東堂さん「それならば、並んで走るがいい。ただし、できるのならば」
 ↑一番カッコよかった東堂さんかもしれない。
 小説版東堂さんはテンションの上がり下がりがジェットコースター並みで逆にカッコいい。

・女子ばりにツンデレぶって失敗する東堂さん→巻ちゃんの調子が悪そうだと急に労わり出す東堂さん→少し元気がなくなってしおらしいこと言い出す東堂さん(荒れた路面は嫌い)→巻ちゃんに勝負に誘ってもらうと途端に上機嫌になる東堂さん。
 この間僅かに4ページ。東堂さんの荒ぶるジェットコースターテンション。

・馴れ初め
 二人の出会いは2年の4月上旬。その後、週末に戦って4戦目でライバル=親友認定。つまり出会って1ヶ月しかも4回出会っただけで、タマムシから巻ちゃんへ、カチューシャから尽八へランクアップ。早い。
 
・「俺は、負けない!巻ちゃん、おまえには、絶対!!」
 さっきまで記念日だのうっとりと思い出話をして女子かとツッコまれてた男が数秒後にはこれ。

・「山頂(ゴール)が欲しかった。いつだって。ずっとそうだった。」「あいつと争ってこそ、頂(トップ)が欲しい。」
 この文で巻ちゃんにとって尽八と戦うことの意義がやっと解釈できた気がする。元々クライマーとして山頂を欲する人ではあるんだけど、尽八に出会ってから1年のうちに、この人にとって山頂=東堂に勝ったら獲れるものに自然と定義付けられたのかなーって思う。山頂に至る儀式というか意義というか、尽八に勝つという行程を経ないと真の意味での山頂にならないんじゃないかなあ。
 今まで欲しかった山頂が「ゴール」で尽八と争って欲する頂は「トップ」とルビられてるのは、尽八と戦わないで獲った山頂はゴールではあるけどトップではない、つまり尽八を倒してこそ自分が最速=トップであると証明できる、という意味だと思う(逆に言えば、尽八に出会う前に巻ちゃんが獲った山頂は単なるゴールであり、巻ちゃんは尽八に出会って初めて『頂』という感覚を得たのかもしれない)。「あいつがいるから、オレは、登る」という言葉も全然大袈裟じゃなくて、巻ちゃんは尽八を乗り越えないとクライマーとして証明できないものがあるんだと思う。そういう意味で、巻ちゃんにとって山頂は尽八そのもので、東堂さんは本当に山の化身、山神なのかもしれない。

・p92からあたり
 ここからの二人はすごい。なにがすごいのか上手く言えないがすごい。ただ東堂さんを前方不注意させたり赤面させたりできるのは巻ちゃんしかいねえなと静かに思う。しかしこのシーンだけじゃないけど、巻ちゃんが不安になると尽八がストレートに好意を表してくれて、尽八がしょげたら巻ちゃんが珍しく素直に本音を言ってくれるのが、ちゃんとお互い気遣いできてるんだなー。

・電話について
 総北と箱学の授業時間がずれてるから、尽八が休み時間に電話をかけても巻ちゃんは授業中なことがあるから厄介、って軽いノリで書かれてはいるけど二人が完全に違う場所と時間を生きてる感じがして遠距離恋愛の切なさがグイグイくる。イイ。
 地の文から会話を想像するに、巻「もしもし」東「五月の最後の日曜日!」巻「?」東「五月の最後の日曜日!!!」巻「は?」……となる。尽八かわいすぎないか。『五月の最後の日曜日』って単語だけを繰り返して大会の催促をするとか女子感が高すぎる。一番可愛かった東堂さん。

・「同じ日に神奈川である大会と、どちらに東堂が申し込むだろうかと考えていて。」
 ↑一番動悸が高まったシーン。
 なんというか「ああ、この人もちゃんと……」とドキドキした。ちゃんと気遣ってんだな大切にしたいと思ってるんだなとか、日常的にちゃんと尽八のことも考えてるんだなとか、多分電話してくるのわかってたんだなとか、というかこういうのが何度もあったんだろうから尽八は電話魔になるんだぞとか、まあ色々思うことがあった。特にこのシーンがあったから今、巻東がんばれてる気がする。

3 二人の約束
・チームについて
 IH1日目の東堂さんは巻ちゃんとのタイマン勝負にこだわってたけど、ちゃんと「総北」と「箱学」の勝負を前提に戦いたがってたんだなあ。というか、箱学部員の母校への誇り高さがもう大好きだよ。東堂さんというと山神の称号へのプライドが強い印象あったから、こう……箱学ジャージへの誇りを見せつけてくれると……か、かっこいい……

・「なんだよ、その情けない返事。巻ちゃん!インターハイ、絶対に勝負しよう」
 ってな感じでついさっきまで声を震わせて最後の勝負の話をしてた人だったのに、激坂の前にくると「巻ちゃん、坂だ。勝負だ」この人の坂好き、どうにかしてーーー。

・「けれど、幸いな結果を、俺たちは得たんだ。運の良いことに」
 ↑一番美しかった東堂さん。
 「俺たちはそういう宿命の星の下に生まれた」とか言ってた癖に、本音のところ東堂さんは巻ちゃんにであったのは「たまたま」だったと理解してんだな。たまたま出会って、たまたま口喧嘩して、たまたまその喧嘩相手が自分と同じくらい強いクライマーで、何度か勝負したらたまたま気が合ってしまって、たまたま1年以上つるんでる。それがどんなに奇跡的で幸福なことかわかってるから、東堂さんて巻ちゃんとの関係を大事に大事にしてんだなあ。東堂さん、奥ゆかしい。

・「あァ、グラビアが、道ばたに落ちてて、つい」
 大事なシーンだし冗談で言ってるんだけど、これだと最後の「グラビアでも読んで回収車待つ」が冗談に聞こえなくなる。拾ったのか、拾ったのか巻ちゃん。

・「何を考えているのか傍目にわかりにくい、この表情に乏しい緑の髪の男が、難所で自分に追いついて笑ってみせたことが、東堂はとにかくうれしかった。」
 結局、東堂さんも真波と同じで、クライマーは孤独と理解してても一緒に登る人がいるのが嬉しいんだろうなあ。初めてロードに跨った瞬間から山神だった東堂さんだけど、巻ちゃんに会うまで一人で登る寂しさを感じたこともあったのだろうか。それともあれか、自分に追いつく人がいる喜びを知ったと同時に寂しさを知ってしまったってやつか。

・「巻島がつぶやくと、東堂が愉快そうに応じた。ハイになっているようだ」「舌なめずりをして、東堂はペダルを回しつつ~」
 ↑一番興奮したシーン。
 あのちょっとうるさいけど上品で育ちの良い東堂さんがハイになって舌なめずりとか。ホント、坂は東堂さんを変貌させる。坂ってすごい。是非映像で見たいシーン。

・(疲れているはずなのに、感じない。まだまだ行ける。オレはもっともっと速くなれる。リムだけになったって登れる、上に行ける!!)
 東堂さんのハイ具合やべーなとか思ってたら巻ちゃんのハイ具合もやばかった。パンクでいけるかいけないかドロドロ悩んでた人が最後はこの駆け抜けっぷり。走ってる時の巻ちゃんは割とクレバーというかしっかり者なので、こういう無根拠の全能感に酔った、アドレナリンキマった姿を見れるとは。色々あってでも最終的に尽八と戦える歓喜が彼をおかしくさせたのか。
 しかし、リムで走って尽八とマトモに勝負できるとか、この時の巻ちゃんのキマり方は少々おかしかったのかもしれない。

・(初めて約束をした。それまで、闘う約束なんて、したことがなかった。おまえは常にオレの前か後ろにいて、競ってきたから)
 原作では東堂さんのセリフだけど、小説ではどっちのセリフか分からないのが巧い。

・「きみが濡れて、風邪を引いてしまう方が、俺は心苦しいさ」
 東堂さんの女子に対する態度はアイドル的なノリだと思ってたけど、王子様系もイケた。こんなキザなこと言えるんだ。口をきくのも辛い状況だろうに精一杯元気に振る舞って女子を気遣う姿は男の中の男。この人がモテるの仕方ない。
 ノリが軽めの女子だが、県外のド田舎かつ豪雨の中山頂で東堂様のゴールを待ち続けた東堂ファンクラブ上級者達である。

・「雨が降り続いている」
 全編通して雨が良い小道具になってた。特に、東堂のラストシーン、巻ちゃんのラストシーンともに、雨の描写で終わったのは雰囲気が良い。

●俺的!小説版東堂さん語録分布
【かわいい】
  ↓「おっはよーっ、巻ちゃん!」
  ↓「俺もばっちり、おまえもばっちりだ!」
  ↓「ふゥむ、何者だ……?」
  ↓「勝負所にうるさいのがいたら、ヤだな」
【カッコいい】
  ↓「いい坂ありそうだな」
  ↓「たまには、歯ごたえのあるやつがいると、目先が変わるってもんだ」
  ↓「前にいる邪魔なヤローは、このヘアピンを登りながら、切って捨てる」
  ↓(今度こそ、俺がこいつの息の根止めてやる)
  ↓「俺たち二人の勝負だというのにな」
  ↓「ちょっとこいつらと遊ぶぞ。いいな、巻ちゃん」
  ↓「一人でも俺達二人の神聖なる勝負の最中にアタックしてきたら、うざいからな」
  ↓「意外なほど、よく登るな」
  ↓「結果以外も見てくれと、他人に泣きついて許されるのは、せいぜい中学生までだ」
  ↓「ゴールまでには絶対に蹴落としてやる」
【こわい】

番外編
【えろい】
  「熱い熱い二人旅になる!」
  「快感を求めるのに理屈は不要だ。本能に任せたらいい」
  「ハァ、ハァ、巻ちゃん(略)もっとガンガン来いよ」

 総感としては、東堂さんがガンッガンに男らしいのがかっこよかった。喋り口調も漫画よりオスみが強いし、なにより怖い。東堂さんは優しいけど怖い人、って認識でイイんだな。あたし信じるぞ。
 あとやはり巻ちゃんの内面描写をきちんと見れたこと。今まで巻ちゃんどんな認識だったんだって感じだけど、意外と甲斐性あるなー、って。ちゃんと尽八を大事にしてるし、気持ちに応えたいって思ってんだなあと。正直、この小説版の存在が巻東を続けられる勇気をくれたと言っても過言じゃないと思う。ありがとう二人の約束。

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