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 純愛ist(更新停止)

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俺やっぱ、歌うの好きだな

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俺やっぱ、歌うの好きだな



 やっとこさって感じですが同人誌裏話のコーナー。
 なんと去年の6月発行『マイ・ファースト・アルバム』です。どんだけサボってたのか。

 思い入れの深い一冊なので、長々と参ります。



●タイトル
 『MY FIRST ALBUM』ではなく『マイ・ファースト・アルバム』です。ここ大事。
 英語のタイトルが苦手で、特にストーリー重視の話なら日本語タイトルがベターだと思う。日本語しかできない人間にとって、英語タイトルはそれに込められた意図が読み取りにくい気がする。日本の小説・漫画のタイトルの多くが日本語、英語であってもカタカナなのが馴染んでいるからかもしれない。
 という訳で、この本のタイトルは『マイ・ファースト・アルバム』が正しい。奥付にもちゃんと書いてある。なのに表紙はデザイン重視で英語表記。あれだよ、正式名称は「シンガンクリムゾンズ」だけど、アルバムジャケットではかっこよさ重視で「ShinganCrimsonZ」って書かれちゃうアレ。表紙での表記が英語じゃ、上のこだわりでわざわざカタカナにした意味がないような…。
 物語のオチに直結したタイトルなのでプロット時点からタイトルは確定。強いて言うなら、『ファースト・アルバム』と悩んだくらい。語感の良さで現在の形に。

●表紙
 タイトルからCDジャケットをイメージした表紙にすることは最初から決定事項。本当は本物のCDジャケットの縦横比で製本しようかと思ったけど、あまりに漫画に向かないサイズだったので断念。左右を黒で潰すことに。
 当初イメージは、CD部分を地球に見立ててCDの中をクロウが歩いている(つまりハムスターの滑車状態。ネズミだし)構図を想定してたけど、あまり派手にならないので色々いじって今の形に。各話のラストに使われていたイメージ写真がここで役に立った。薔薇やら翼やらを色々とブチ込んだ結果、3色刷ながらかなり派手な表紙になって満足。
 裏表紙は、CDジャケットらしく収録トラック(という名の収録エピソード)を記載。そして、ラストフラワー(薔薇)を冠したハリネズミを先頭にシンガンメンバー(ヒョウ、キツネ、ライオン)、少し離れてシアン(猫)。シアンがラストフラワーを手に取る日はいつか。

 余談だけど、この裏表紙の動物シルエットはシルエットスタイルさんというフリー素材サイトのを使わせていただいた。勘の良い諸兄ならお分かりだろうが、動物シルエットを使ったシンガンTシャツもここのフリー素材を使っている。公式グッズなのにフリー素材とかお金無いのか。ちなみにロムのシルエットは、ヒョウじゃなくてチーター。実はチッティだった。
 薔薇を付ける位置にも結構こだわり、クロウは「冠」を意識して頭、ロムはダンディに胸、ヤイバはチャームポイントなのでしっぽ、アイは女性的に髪に付けた。これはあとがきページのミニシンガン達が付けてる薔薇の位置と同じ。


【回想シーン】
●冒頭
 中学生のクロウが、自分の人生を変えるアルバムと出会うところから始まる。当時13才。中学2年生。アルバムはとあるマイナーなヴィジュアル系バンドで、この1枚しかアルバムは出せなかったようだ。ゴスロリ趣味の女友達から借りた。
 アイポッド等ダウンロード楽曲が全盛の今、若い世代にポータブルCDプレーヤーが伝わるかちょっと心配だった。使ってるCDプレーヤーのメーカーはPANASONICならぬ「SEGASONIC」。つまり音速の青いハリネズミ。ハリネズミつながりだ。

●家族関係
 グレたと噂されてた高校時代。エニッキで話したけど、別にグレてない。ギターを始めて、ピアスを開けて、化粧をし出して、服装が派手になっただけ。そういうのをグレたというのかもしれない。
 アニメ版(荊冠の神)では家族との衝突を大きく描いたけど、アプリ版はそこまででもなかった。一応母親が反対したのだが、アプリエピソードで言われる「売れなかったら家業を継ぐ」という約束で上京した。
 たとえ家族に断固として反対されたとしても、アプリ版は自分の夢を明確に持っているので、家族からの反発で決意が揺らぐということは一切ない。ただ家族仲は非常に良かったので、(最後の独白でも少し語ってるが)家族を恋しく思う気持ちは持ってる。帰省もちょくちょくしてる。

●上京
 うちのクロウは北海道出身。回想シーンの最後にMIDICITY行きの新幹線の切符が出てくるけど、演出を分かりやすくするためにそうしただけで、本来ならフェリーで行ったという設定(フェリーの方が安価だろう)。真夜中にフェリーの甲板に立ち、暗闇の中のステージのように輝く東京湾の光に期待と興奮を膨らませるクロウ少年。高校卒業後すぐに上京したため当時18才。
 ごく自然にクロウの本名を「九郎」としているが、他メンバーにも、アイオーン=「愛音(かのん)」、ロム=「大(ひろむ)」、ヤイバ=「駿平(しゅんぺい)」という本名がある。ヤイバは、絶対に本名がバンドネームにかすりもしないヤツだと思ってる。


【トラック1:ツバサ】
 シンガン結成前の話。クロウ19才頃。
 髪型は擬人化と同じ、前髪赤メッシュに外ハネ。高校卒業したばかりでまだまだ若く、派手に髪を染めてるという設定。まだ駆け出しなので服装はラフで、アクセサリー類もシンプル。

●楽曲について
 シンガン初めての曲。忘れもしない2014年3月のこと。クロウ&アイが海動&真上に似てるねって話題を目にし、軽い気持ちでSB69を初めた。もちろん一番最初に選んだ曲がこの『TSUBASA』。めちゃくちゃカッコよかった。アプリ音ゲーだからとナメてたこと、クロウさんが2等身だったことからのギャップでその衝撃は計り知れないものだった。それ以後、私とクロウさんの長い付き合いが始まる。
 赤い涙、煉獄の炎、断罪の鼓動…アプリシンガンで最も「中二病してるな~」って曲でもある。同時に「この世を変えろ」「折れた翼で今走り出せ」とか中二的な言葉ではあるが内容は、こんな暗い世界変えてやろうぜ!闇や束縛なんてブッ壊してやるぜ!という若々しくパワフルな歌…ということで、学生時代のクロウさんが作った曲ということに。
 クロウがMIDICITYに来た理由として「この世界を俺の歌で変えたかった」と語ったのは、このTSUBASAの歌詞に合わせるためが大きい。実を言うとクロウは自分の歌が世界に与える影響力にはあまり興味が無く(そして世界の矛盾や腐敗にも興味が無い)、「音楽で一番になるため」であり、そこは『STING』で書いたように、「男は一番になりたがる」という純粋な望みである。

●ギター
 レッドトマホークはMIDICITYで買った、シンガンを組んでからの相棒。
 この頃は学生時代から使ってるギブソンのフライングVタイプ。なんでフライングVかってーと、クロウが(レッドトマホークのように)変形ギターが好きそうってのと、私がエレキマン描いてた時に描き慣れてたから。トラック5の通りいまだ現役で、作曲する時に用いられる。
 念のためフライングVの値段を調べたら、30万とかして「厨房の頃に買ったのに!!」とヤバかったが、中古なら5~6万で扱ってるのもあったのでそういうのを買ったってことにしておく。

●クロウという男
 漫画の中でうまく表現できなかったのが、クロウの破滅的な人生観。
 うちのクロウさんは一言で表現すると「自分史上主義」。自分を愛し、自分を信じ、自分を徹底的に守ろうとする。そのためなら他人を拒絶することも構わない(のだが、無意識に他人を求めてしまっているのはトラック2以降)、自分を自意識という針で武装した孤高の男。
 これだと単にエゴイストなんだけど、同時にストイシストでもある。クロウの「自分史上主義」の自分とは、自分の身ではなく自分の望み。つまり「音楽で一番になる」という夢こそが一番大切なもので、そのためなら命すら投げ捨てて構わないと本気で思っている。夢さえ叶えば、もうあとは自分なんてどうなったっていい。だから、青春はすべてギターに捧げ尽くし、今でも指が壊れるほどギターを練習している。誰よりも自分を愛しているが、誰よりも自分を痛めつけてもいる。ぶっちゃけ自傷癖や自殺未遂経験のある荊冠クロウよりずっと危険な精神状態の男。
 「ただ夢を叶えるためだけに生きている」。そういう夢に対して破滅的で狂気的ですらある男が、夢というものが思っているよりずっと大きく、多くの人に支えられるものだと知る物語でもあります。

●当時のロム
 シュウが電撃脱退しバンドが解散してしまったことで「グレイトフルフェスで頂点を獲る」という夢を突然奪われ、音楽への愛情と諦念を抱きながらもサラリーマンが板についてきたぐらいの頃のロム。
 その後、クロウと親しくなったロムは「バンドやれば?」と持ちかけ、クロウも最初こそ乗り気でなかったが成り行きでメンバーを集めて結成したのがシンガンクリムゾンズ(まだアマチュアバンド)。
 ロムは単に元・バンドマンとして、そして単にクロウの歌が好きでバンド結成を薦めたのだが、(若いドラマーを探すつもりだったのだが、他3人がロムが良いと言ったので)予想外に自分がバンドメンバーになってしまったことから、一度は奪われた夢をまた見てしまう。クロウと同じく、バンドに対して『利己』を見出してしまったロムは、最終的にクロウを追い詰めてしまうことになるのだがそれはトラック3に続く。


【トラック2:シンクリズム】
 シンガン(アマチュア)結成後。クロウ20才頃。
 なぜクリスマスにしたかが自分でも分からない。単にヤイバと飯を食うシーンにしたかっただけ。ファミレスという構想もあった。
 ニューワールドオーダーまでは自由に髪型で遊ぼうと思ってたので、これは完全にオリジナルの髪型。ストレートヘアのクロウさんが見たくて、それっぽいV系の髪型を調べてみた。なんとなく黒執事のセバスチャンに似てる。
 衣装は豪奢なゴシック系コート。本当は彼女とのクリスマスディナーってシチュエーションだったので、(クロウなりに)フォーマルに衣装を整えてきたって感じです。貴族風。和ゴスの服いっぱい検索して頑張ってヤイバの私服をデザインしたのだが、映るの1コマしかなくて泣いた。
 この話で一貫して主張したいことは、ヤイバはもの凄くいいヤツで、クロウの親友だってこと。

●楽曲について
 シンガン初期3曲では最も好きな歌。単純にカッコイイ。
 この楽曲で徹頭徹尾歌われているのは『自己への没入』だと思う。「ナニガオリジナリティ?」「独創、自分自在」など自分らしくあれという主張の歌なんだけど、「deep inside of me」「深層心理へと深みにハマれ」など自分らしさを通り越して自分へ溺れている様が見て取れる。この辺からクロウさんのナルシストで自意識過剰な性格は、「自分のことしか考えることができない」ことから発するものではないかと思い至る。非常に排他的で、孤独な人なのだ。
 けど、このあたりを文字にするとヒジョーに長くなるので大変だった。「クロウは自分を最も大切にしている」「そのため、他人には無頓着にならざるを得ない」「なので、友達や恋人はすぐクロウの元を離れてしまう」「しかし、そもそも人間は他人より自分をまず気にするべきだ」「なぜなら、他人を気にしていると自己を見失うからだ」「クロウの歌は自己の投影である」「つまり、クロウは他人を気にしていると=自分を一番に優先していないと歌が書けない」…などをなんとか2pでやりこめた。
 ここら辺の主義は『STING』で詳しく書いてるのでそっちを読んで欲しい。子供の頃、好きな女の子のために蝶の羽根を毟ったエピソードはお気に入りなので、漫画でも入れたかった…。

●ヤイバのたばこ
 パーラメントってたばこ。自分はたばこ吸わないんでネット情報なんだけど、ホストやチャラ男が持ってるタバコらしいんでこれにした。上品な甘さとしっかりした煙草の味がするちょっとお高いタバコらしいです(ネット情報)
 この漫画にはシンガン全員に喫煙描写があるけど、うちのシンガンは全員喫煙者設定ですって主張のため。というかMIDICITYの成人男性って大体吸ってそう(バンドマンへの偏見)
ちなみに、消費量はクロウ>アイ>ヤイバ>ロム。クロウは事あるごと吸ってて、アイは人前じゃあんま吸わないけど一人だと結構吸ってる、ヤイバはクロウとの遣り取りみたいに付き合いで吸う+ファッション感覚、ロムは残業で疲れた時だけ吸う、って感じ。

●クロウのギターケース
 トラック1ではソフトケースだったけど、バンド始めてギターケースを公式絵でお馴染みの赤いハードケースに新調した。ガウガ、デモベとかお世話になってる先輩バンドのステッカーを貼ってる。先輩への敬意とファン魂を忘れないクロウさん。

●シンガンクリムゾンズ結成の経緯
 あとがきにも書いたようにシンガンの遍歴は、「クロウがロムと出会う→アマチュアバンド・シンガン結成→BRRと契約してメジャーデュー」。つまり、この時点でのシンガンクリムゾンズは『アマチュアバンド』。『インディーズバンド』ではありません。
 音楽業界について未熟なもので、この本を作る前までは、「メジャーバンド=プロ、インディーズバンド=アマチュア」だとずっと思っておりました。正しくは、メジャーレーベル所属のバンドをメジャーバンドと言い、インディーズレーベル所属のバンドをインディーズバンドと呼ぶとのこと(アマチュアバンドもインディーズバンドと呼ばれるのでしょうが)。つまりは、メジャーもインディーズもレーベルの違いだけでどっちもプロなんですね。
 そして、BRRのような小さいレーベルはインディーズレーベルである可能性が高い。なので、アプリ第3話の「メジャーデビューするか否か」という話を、私はずっと「今はインディーズ(アマチュア)で、メジャーデビュー(BRRと契約)するか否か」という話だと思ってたんだけど、「今はインディーズ(BRR)で、メジャーデビュー(メジャーレーベルへ移籍)するか否か」という話題だった可能性が高い!
 そもそも旧バージョンから不思議に思ってたことで、バンド紹介で「社長に集められた」とされるシンガンが、第3話ですでに結成しているのにメジャーデビュー(BRRと契約?)の話をしてるのは時系列的におかしい……。これの疑問もBRRがインディーズレーベルだとすれば解決する。
 という訳で、おそらく「BRRはインディーズレーベルであり、シンガンクリムゾンズは結成から今までずっとインディーズバンドである」というのが公式設定でしょう。それを描きながら理解したものの、そうすると話が成り立たないのでうちはうちの結成経緯でやっていきます。

●呼べば10分で来る友人がいてよかったな
 セリフを解説するのは恥ずかしいけど、一応。
 クロウはこの言葉で改めて、自分のワガママでまた友人を振り回してしまったこと、そして一人になると無意識に友人に頼ってしまっている自分を自覚するのです。自分が一番だと思いながらも他人の情を求める、そんなワガママを許してくれるのは自分だけ、友人も恋人もいずれは去っていく……はずなのに、そんなワガママを笑って許す男が目の前にいる。
 そんな仲間たちに感謝も罪悪感も持っている。しかし、自分がただ自分であるために友を振り回し続けるしか生き方を知らない。そんなジレンマを隠し持ちながらトラック3に続く。


【トラック3:ニューワールドオーダー】
 アマチュア時代後期で、メジャーデビュー直前。クロウ21才頃。「はりねずみには針がある~」のオープニング通り、『STING』の内容をモロに反映させた話。ハムスターのくだりを映像化できて良かった。
 髪型は、普段の髪型であるが苦悶の末に少し乱れている。半裸なので、鎖骨のピアスなども描けた。アクセサリーは鎖や十字架のモチーフに取り入れて、クロウの「罪悪感」を表現。アイと歩くシーンでは、髪は下ろしていて(練習スタジオへの道すがらなので、楽屋で髪型をセットする)、沈鬱な心情の表現のためにフードを目深にかぶせている。
 アイオーンは黒いVネックシャツに天使のプリント。希望としては聖母マリアのプリントが良かったけど、フリー素材になく断念。下はフリルスカートにダメージパンツ。うちのアイは好んでスカートを履く。

●楽曲について
 旧バージョン3曲で唯一「ラブソング」に分類されるかもしれない。初めて聞いた時は驚いた。
 プレイ当時は、デビューについてメンバーと対立した後でこの曲が来たもんだから、この曲はラブソングに見せかけたメンバーへの感謝の歌かと思った(「例えば、このお前との出会いが、もし悲劇達と背中合わせだとしていても、後悔なんてきっとしない」とか)。しかし、前の2曲(特にシンクリズム)と合わせて考えると、どうにも締まらない。特にこの歌の中で語られる「天使(ルシファー)」に実体が感じられない。
 なので、これはあとがきに書いた通りクロウの願望の歌。闇の中で光の天使を探し続ける、「悲劇達と背中合わせ」のクロウが「後悔なんてきっとしない」と思える未来を夢想する、そんなやるせない歌なのです。

●解散騒動においての各メンバー
 それぞれのポジションはこうなる。
 クロウ→夢のためにデビューしたい。
 アイ→デビュー反対。基本的に音楽ができればそれで良く、デビューは考えていない。クロウが真剣にデビューしたいことが分かってる。
 ヤイバ→デビュー反対。というかあまりの突然のデビューの話に引け腰になってる。バンドが楽しくてやっているやつなので、デビューなんて考えたこともなかった。
 ロム→中立。だが、シュウと果たせなかったグレイトフルフェスという夢を叶えるために内心デビューしたい。

●クロウVSヤイバ
 クロウが度々「メジャーデビューしてMIDICITYのテッペン獲ろうぜ!」と言っているのを、本当はそこまで真に受けてなかった。しかし、本当にレーベル(BRRが弱小だということは知らない)にスカウトされ、デビューが現実味を帯びてきたので驚愕。メジャーに望むこともなく、今4人でバンドができるだけで満足なのでそれが壊れることを恐れて、デビューには反対した。
 クロウと友達付き合いをしてきたため、バンドの方針について気軽に口を出せるのも災いした。なにより、メンバーの中でクロウを最も「普通の男」だと思っていて、クロウの破滅的な本性に疎く、クロウが「夢のためだけに生きている」ほど夢に執着していることを認識していなかった。
 クロウとの対立はそんな彼とクロウとの温度差から生まれたもの。元から人の感情には鋭い男なので、すぐにクロウの心情を理解し仲直りできただろう。

●クロウVSアイオーン
 アイは自分の音楽ができなくなる等の理由でメジャーを嫌がっていたが、本当のところはクロウの身を案じてあえて反対していた。
 アイの真意は、ラストで楽になれと目で語ったようにクロウに夢を諦めさせたかった。アイはクロウが夢のためだけに生きていて、そのためには自分の人生を投げ捨てたって良い、夢に縛り付けられている人間なのをよく分かっていた。そして、そんな生き方の結末は闇しかないと予見していた(もし夢を叶えられなかったら生きる意味がなくなる、逆に夢を叶えてしまったら生きる目的がなくなる。どうあがいてもクロウの結末は存在意義の消失である)。
 なのでアイはこのメジャー論争に乗じて、強引な手段で夢を諦めさせようとしていた。でも、クロウの苦しみ様を見て「やっぱりこの生き方を続けるとこいつは壊れる」と改めて確認し、「でも、もうこの男は手遅れなのだ」と観念して、最終的にはデビューに賛成した。どうせ壊れていくのなら、ギリギリまで夢を追わせてやろうという判断だった(しかし、その予想はネクドンでのクロウの成長で覆る)。
 方法はともあれ、アイはクロウを闇から救うルシファーになりたかったのだ。

●クロウVSロム
 クロウが他3人に「自分の夢に巻き込んでいる」という引け目があるように、ロムも他3人に引け目がある。
 トラック1で書いた通り、ロムがクロウにバンドを薦めたのはまったくの好意だが、バンドを結成する中でシュウと追った夢をシンガンの中に見てしまった。つまり、クロウとまったく同じようにメンバーに夢を巻き込んでいる(クロウはなんとなくこれを理解していた)。
 ロムとクロウは、悪く言えば自分の目的のためにバンドを利用する者同士で、そしてデビューというお互いの夢を叶えるための不可欠なステップを前にして、戦ったのがクロウで傍観したのがロムだった。
 ロムの方がクロウより引け目が強い。その理由は自分の追う夢が、本当に自分の夢なのか、それとも自分を裏切り成功したシュウへの復讐心なのかが分からなかったから。結局、ロムはその引け目に引っ張られデビューに強く賛成することができず、仲裁に徹することしかできなかった。結果、同じ目的を持つクロウを裏切る結果になった。
 それについてロムは激しく後悔していて、後にクロウに泣いて謝りにいった。その後、ロムは自分の夢について一線を引き、まずはシンガンクリムゾンズというバンドを守ることを最優先し、その延長としてグレイトフルロックフェスという夢を見るようになる。

●針のゆくえ
 ゲッターの本で「エゴイストが強いのは恥知らずだからだ」というセリフを言わせたことがある。つまりエゴイストがその強さを保てるのは、他人に頓着せず自分の望みにだけ忠実だから、ということ。
 クロウが今まで誰よりも強く、強烈な個性のある楽曲を作れてきたのはまさに自分だけを見つめてきたから。シンクリズムで自省したように、エゴの姿勢を崩せばクロウの強さは失われ、もう歌が書けなくなる。だから、クロウは(例えメンバーがどんな思いでデビューを反対しようが)絶対にメンバーに譲歩できない。譲歩してしまった時点で、クロウは針を失う。
だからといって解散してしまえば、クロウの夢―「シンガンクリムゾンズの成功」は永遠に失われる。だから、クロウはメンバーの事情など一切考えず、無理やりメンバーを従わせて自分の夢を叶えるしかない。冷酷にそれを遂行できてこそエゴイストの強さだが、それをするにはクロウはメンバーのことを愛しすぎた。
 「針」を捨てるか、「仲間」を捨てるか。どちらにしても生きる意味を失うはりねずみのジレンマ。だけど悲しみのままに針を引き摺ったはりねずみは、「針」を持ち続けながらもその先を丸め、誰も傷つけない針を手に入れる。

●『STING』との変更点
 練習スタジオへの道すがら、ペットショップの前を通りかかる。『STING』のラストシーン。
だけど、『STING』では「ライブハウスへの道すがら」となっていて、「これが最後のライブになるかもしれない」と話しているが、昨日出来たばかりの曲を練習もしないでライブで披露するのはありえないので、こっちでは「新曲の練習に行く」道すがらに変更した。
 『STING』は、なるべく公式第3話に合わせるためライブ前ということに。

●はりねずみ
 「はりねずみは針がなけりゃただのネズミ」というクロウさんの持論ですが、はりねずみはモグラの仲間です。ハムスターにもなれません。


【トラック4:ノッキングザネクストドアー】
 メジャーデビュー後。クロウ22才頃。
 この話(6P)だけでなんとクロウさん、4回も着替えてる。今回の本は、「作中の日付が変わったら衣装を変える」というルールを作った。「シアンと初めて会った日」「シアンと練習する日」「プラマジのライブ日」「後日、ネクドンを作った日」なので4回着替えてる。
 ラストの衣装は、今回のクロウさんオリジナル衣装の中で一番お気に入り。パンクヴィジュアルくらいが一番似合うと思う。

●楽曲について
 ここから『STING』のその先になる。
 読んでもらえれば分かるけど、『STING』はバッドエンドである。そもそも「シンクリズム」で自己への没入を歌った人が、「NEW WORLD ORDER」で他人を求めてしまったのがいけない。自分を一番愛する人が、他人を愛してみたいだなんてないものねだりなのだ。
 シンガンが3曲しかなかった当時、「シンガンがMIDICITYのトップになった直後、病気か事故で死ぬ」がクロウの最も幸福な人生だとすら思ってた。夢を叶えられなければ死ねない、夢を叶えてしまったら生きていけない、そういう人だと思ってた。
 それをひっくり返したのがネクドンだった。詳しくはこっちに任せるが、歌が他人を向くようになった。今までの3曲が自分を歌にしたものだったのに対して、ネクドンはオーディエンスへのメッセージ性が強い歌。自分にだけ向いていた目を、人に向けられるようになった気がする。
 ずっと人を見てこなかった。自分だけ見ていれば良かった。しかし仲間ができて初めて人と触れ合うと、自分の我が侭な在り方に苦しむ。しかし、苦しみに耐え他人を見つ続けることができたからこそ、新しい扉を開けられた。アプリ第3話は辛い話だが、きっと痛みを伴う成長だったのだろう。

●シアン加入
 うちのシアンが音楽を志すことになったのは、公式同様おじいちゃんの骨董品店でストロベリーハートから突然グレイトな音楽伝説を聞かされるところから始まる。
 音楽に目覚めたシアンはバンドを組むため、持ち前の根拠のない行動力で各種レーベル・アイドル事務所(a-moxとかジューダスとか)に突撃を繰り返す。ド素人の彼女が相手にされるはずもなく、彷徨い続けたシアンが最後に辿り着いたのがオンボロレーベル・BRR(BRRに辿り着くまでに3日費やしており、シアンの言う「ギター歴3日」とはこのこと)

●ギタリストの指
 ギター初心者にとって一番キツいのが、この指の痛みらしい。ギターを諦める理由の大抵もこれだそうだ。
 指の皮が強くなるのもそうだが、ギターが上手くなってくると弦を抑える指から適度に力が抜けて、大して痛めずに弾けるようになるらしい。その点で見れば、ギター歴10年でいまだに指をボロボロにする弾き方のクロウさんはあまりギターが上手くないということになるが、実はその通りである。
 ギターが下手という訳じゃなくて、ギターが下手「だった」。うちのMIDICITYでは、クロウさんのギターは「ギタボの中ならまあまあ上手い方」レベルだが、元々はギターの才能が無く、そのレベルになるには人一倍努力しなければならなかった。指を痛めつけてそのレベルまで到達したが、しかしギタリストとして更にレベルアップするにはやはり人一倍練習しなければならず、普通ならもう指を痛めず弾ける技量なのにオーバーワークで指を痛めてしまうのである。
 ちなみに、歌を除けば楽器レベルは、アイオーン>>>>>>>ヤイバ>>>クロウ>ロムで、上手い組のアイとヤイバ、下手組のクロウとロムに分かれる。
アイはギタリストとしてはMIDICITYナンバー1の天才。ヤイバはベーシストとしてトップレベル。クロウは決して下手ではないが、「上手い」というよりは「よく頑張っている」(反して、歌に関しては天性のものがある)。ロムは、シュウに「筋肉任せの演奏」と揶揄られてるように、元のリズム感は大して無く経験で補ってるタイプ。多分あと1年もすればモアに技術が抜かれると思ってる(ロムが自分ではなく、若くて上手いドラマーをシンガンメンバーにするつもりだったのは、自分が下手なのを知ってるから)

●プラマジ初ライブ
 初ライブの模様は、SB69公式HPにあるPV動画で見れます。旧チッティの顔の怖さも見れます。
 この初ライブにオーディエンス0というのが、非常にプラマジらしくて好きです。目的も性格も違う寄せ集めの4人が最初に絶望に叩き落とされ、そこから協力して歩んでいく。きっとプラマジがひとつになった悲しいけど大切な事件だろう。
 モアだけ事の状況をよく分かってないのが可愛い。PV必見だ!

●クロウとシアン
 ニューワールドからネクドンへの、クロウの意識の変化は正直衝撃的だった。一体クロウの身に何が……と考えた時、やはりクロウを変えたのはシアンとの出会いだったんじゃないか。
自分の夢を叶えることだけ考えてきたクロウの傍に、初めて現れた同じ夢を持つ少女。シアンとの交流を経て、シアンも夢のために必死で努力して挫けそうになってること、自分の夢とシアンの夢がなにも変わらないことを学んでいった。
 自分の夢だけを叶えようとすると、他人が邪魔になる。でも、自分も含めてバンドメンバーの夢、シアンの夢、社長の夢……すべての人の夢を叶えようとすれば共に歩める。他人の夢を応援することは、自分の夢を応援すること。クロウは、自分も含めてすべての夢見る人に「諦めるな、夢は叶う」と伝えたいと思うようになった訳です。


【トラック5:ラストフラワー】
 メジャーデビュー後しばらく。クロウ現在(22~23才想定)最後にやっと公式衣装(自室シーンもツアTのつもりだから一応公式衣装か)。クロウさんファッションショーもおしまい。
 自室シーンのみクロウがノーメイク(あとスッピンなのは冒頭の中学生時代のみ)。なので、ここだけは少し幼く見えるように描いてる。

●楽曲について
 本当にこの曲は、本当にこの曲は、控えめに言っても最高。正直考えすぎると泣きそうになるから詳細はこっちに譲る。
 要約すると、クロウが初めて自分の悲しみや涙、ネガティブな感情を歌にした。自分の思想やメッセージだけじゃない、今まで溜め込んだ感情すべてを歌にした。そして、その歌の中で他人との「共鳴」を求めた。そして、それを「証明」と呼んだ。歌によって人と繋がり共鳴することが、クロウがMIDICITYに存在している証明。
 クロウは「音楽で頂点を獲る」ことを目標としながらも、本当はどこかで自分が歌う意味を探していた。そして見つけた答えは、「たとえ存在をなくし倒れてしまったとしても、在り続けるさきっと、その記憶の果てまで」。クロウが本当の夢は、一番になるための歌じゃない、自分が消えてしまっても誰かの記憶に残る歌だった。そして、誰かの心の中にクロウの歌が生き続ける限り、クロウという男は永遠に消えない花となる。
 最終回だ。ラストフラワーこそがクロウさんの最終回。カラオケ入りおめでとうございます。どんだけ待たせてるんだ。

●クロウの部屋
 好きなキャラの部屋を想像するのが好き。クロウさん家は、あまり広くないワンルーム+キッチン+バスルーム。インテリアはほとんどないシンプルな部屋で、そこそこ散らかってる。
 ちなみにテレビに映ってるのはカウントダウンTV(トラクロ特集)

●最強ギター
 部屋にあるギターコレクションの中には、最終進化「漆黒の堕天使クロウ」時のツバサ型ギターもある。
 うちの設定では、このギターは今後メジャーでシンガンの人気が出て、最終的に「漆黒の堕天使クロウ」ぐらい衣装がゴージャスにできるほど稼げるようになってきた時に買ったかなり高価なギター。
 なので、本当はこの時点(ラストフラワー作曲時点)ではまだ持ってない。でも、せっかくなので出演させておきました。かっこいいし。

●ファースト・アルバム
 ファースト・アルバムには二つ意味がある。一つは、クロウが始めて出会った名も無きアルバム。もう一つは、シンガンクリムゾンズのファースト・アルバム。
 作曲中に聴いていたのはボロボロになった前者のファースト・アルバムだけど、目を開けた時(楽屋)で聴いていたのは後者のファースト・アルバム。そして、クロウが作った後者のファースト・アルバムは、いつかそれを聴いた誰かにとって前者の意味でのファースト・アルバムになる。こうして『ファースト・アルバム』はずっと続いていく。
 ファースト・アルバムを作ったミュージシャンはもう亡くなっているし、クロウもいつかMIDICITYを去ったり、うっかり死んだりするかもしれない。それでもクロウも、ひいては自殺してしまった名も無きミュージシャンも、延々と誰かの夢の中に生き続けるのだろう。
 CDプレーヤーはやっぱり「SEGASONIC」

●ライブ中
 家畜達のメンバーの呼び方は大方決まっていて、ロムは「ロムさん」(男性家畜は「兄貴」)、ヤイバは「ヤイバくん」「ヤイバ殿」、アイは「アイオーン様」、クロウは「クロウ様」「クロ様」。
 ライブというものを生で見た経験は少ないけど、ライブ中のバンドメンバーはとても仲が良さそうに見える。目配せし合ったり、背中合わせで弾いたり、動けないドラムに絡みに行ったり……。アニメでシンガンのライブシーンは見れたけど、ステージセット上そういう物理的な絡みが不可能だったのが寂しかった。という訳で、ささやかながらにメンバー同士の絡みを意識してライブシーンを描いてみた。この2P描くのに休日一日潰した良い思い出。

●背中
 私は背中を描くのが好きで、今までの同人誌を見返すと背中を向けるシーンで終わるのがほとんどだったりする。特にクロウさんの背中が大好きで、このラストは今までの「背中ラスト」の中で最も美しく締めくくれたと思う。
 男の背中はすべてを物語るのだ。

●バラ
 最後に並んでいる4つのバラの写真。一応それぞれシンガンメンバーを意識した、違うバラの写真。
 一番上はクロウさん。小柄なので小さく、これからの成長を思って開きかけのバラ。次はロム。やや大振りで、振り返りメンバーを見守っている。次はヤイバ。集めた写真の中で、一番上品に咲いているものを選んだ。一番下がアイ。とても大きく咲き方も豪奢。

●奥付
 クロウの机の上。シアンから絆創膏のプレゼントがあるが、本当はキティさんの絆創膏にするつもりだった。が、印刷所の注意事項に「デ○ズニー、ポ○モン、サ○リオは著作権に厳しいから描いちゃダメ」とあり(じゃあなぜSB69は大丈夫なのかは謎だが)、念のためやめておいた。

●おわりに
 (あとで発行する『荊冠の神』に比べれば)短い話ですし、1ヶ月弱いで仕上げたこともあり絵も粗さが目立ちます。でも、1年以上かけて積み上げてきたシンガン楽曲妄想の集大成であり、うちのクロウさんの半生を描いた大事なお話です。
 これを1冊読んでもらえれば、私がどんなクロウさんを描くのか大方分かっていただける、うちのクロウさんの名刺みたいな本です。発行からもうちょっとで1年立ちますがまだお求めいただけることもあり、ろきしゃわ3にて増版しました。本当にありがとうございます!この本だけは私のクロウさんの集大成として、SB69で活動する限りスペース机上に置き続ける気概です!イベントで見掛けることがありましたら、ちらっと覗いてみてください。
 ラストフラワー以降、アプリ用新曲が出てないけど、うちのクロウさんはこれからどこへ行くんだろう。また新曲を出す度に成長してしまうんだろうか……。


 次の同人誌裏話は、アニメ版クロウの『荊冠の神』
 暗くて長くてシリアスな話。あまり補足箇所はないかもしれない……。

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